時は幕末、文化元年。塩谷隼人、当年六十歳でありながら、摂津尼崎藩四万五千石の江戸上屋敷を二十年以上とり仕切り、質実剛健で江戸中に知られる名物家老だ。古流剣術の中條流の遣い手で、その腕は並ぶ者なき比類の強さ。また情に厚く身分など気にせず誰とも接する武士の中の武士である。そんな隼人…